頸椎捻挫は、交通事故やコンタクトスポーツの際によく起こります。車が壁などに激突したり、運動時に強い衝撃が首にかかったりすると、首回りがダメージを受けてしまうのです。衝撃によって首がムチのようにしなってしまうので、「むち打ち症」と呼ぶ方もいらっしゃいます。強い衝撃を受けたときだけでなく、睡眠中に無理な姿勢を無意識的にとった際にも、首の筋肉に負担がかかってしまい、頸椎捻挫になることもあります。軽度の場合は、筋肉痛を自覚する程度ですが、重度の場合は、強い痛みによって首が回らないこともあります。頸椎捻挫による首の痛みは、しばらく安静にしていることで快方に向かうこともありますが、なかなか痛みが解消しないこともあります。市販の消炎鎮痛剤では痛みが治まらないときは、頸椎椎間板ヘルニアなどの病気が原因ということも考えられます。
首の骨の間には、頸椎と頸椎をつないでいる「椎間板」があります。この軟骨組織がクッションの役目を果たしているため、頭部などに強い荷重がかかったときにも、うまく力を分散させることができます。頸椎椎間板ヘルニアになると、一部の椎間板が本来の位置から飛び出した状態が続くため、脊髄や神経根が圧迫されてしまいます。これに伴い、首や肩、腕にかけての痛みやしびれが生じます。首の痛みや不快感により、手先を使った作業が困難になります。患者様によっては、うまく歩けなくなったり、トイレが近くなったり、頻尿や残尿の症状がでたりします。
変形性頚椎症は、頸椎の椎間板や骨、靭帯などが変形してしまう疾患です。加齢が引き金となるケースが多く、中高齢の方にはよくみられます。年をとると、首の椎骨と椎骨の間に挟まってクッションの働きをする椎間板が変性したり、すり減ったりします。これに伴って脊柱管の中を通っている脊髄や神経根が圧迫を受けてしまうので、首の痛みや肩こりに悩まされます。そのほかにも、手や腕のしびれ、麻痺が起こります。手足が突っ張ってしまい、手足や関節を思うように動かせない状態にもなります。軽度の場合は、痛みを抑えるためのお薬を処方します。さらに、頸部カラーを装着して、しばらくの期間は安静にします。これと併行して電気療法や頚牽引療法などを行うこともあります。こうした保存療法では症状が改善されない場合は、手術療法を検討します。